みなさま、こんにちは。
今回は観察することの大切さについて少しお話しさせてください。
当教室では、ものをじっくり観て描くいわゆるデッサンを大切にしています。
デッサンと聞くとそのものそっくりに描かなければいけないというイメージもあるかと思いますが、それよりも大事なのは作者がどういったところに興味を持って集中して描いたかということですね。そっくりではなくてもよく観て集中して描いたというのはすぐわかりますし、魅力的です。
例えば同じりんごを描いたとしても、10人いれば10通りの絵に仕上がりますよね、全く同じ絵になるなんてことはありえません。りんごの色や模様に着目する人、かたちにこだわる人などそれぞれです。鉛筆が紙に触れる力(筆圧)によっても全然違う絵に仕上がります。
よく観て集中して描いた絵というのは、まさにその作者らしい、最もオリジナルな絵なのです。それを繰り返しながら自分はこういう絵を描くんだなぁ、じゃあ次はこうしてみようかな、などその作者の良いところが具現化し発展していきます。これは、子どもに限らず、絵を始めて間もない方には年齢を問わず言えることです。
つい長くなってしまいました、では、作品を見て行きましょう、今回ご紹介するのは小学生クラスのデッサンです。最後に幼児さんの驚愕のデッサンもご紹介いたします。
こちらはコリドラスという観賞魚の絵です。小学4年生が図鑑を見て描いたものですが、からだの模様がとても上手ですね。またこの魚の表情もよく捉えています。あまりにも生きているみたいなので聞いて見たところ実際に飼っていてよく観察しているそうです。この模様の上にうっすらと陰影をつけられるともっとかわいくなりますね。
こちらは小学5年生が描いた電球のデッサンです。全体的にバランスよく描かれています、特に金属部分がとても良いですね。ガラス特有の影も素晴らしい。透明なものは難しいのですが、透明であってもそこにガラスの壁があるというのは、ガラスに映る周りの景色を利用しながら描いていきます。
こちらの2つの色鉛筆デッサンは両方とも小学5年生の同じ作者のものです。とても素敵ですねぇ、犬ならば顔のまろやかさに、白鳥ならば羽の美しさに興味を持ったのでしょうね。ものすごい集中力を感じます。欲を言えば、描き始めや途中でふっと絵の全体を観る時間が少しあるともっと良くなると思います。
こちらは小学4年生が描いた鉛筆デッサンです。…はあ〜、ため息が出ちゃいますね。大人顔負けです。美大を目指して予備校に通っていた高校時代の私より上手…。制作途中もつい熱が入ってしまいました。ここからは重箱の隅をつつくような細かいところをやっていかなければならないのですが、本人もやる気ですのでガッツリいきます。
こちらはなんと6歳の幼児さんが描いたカサブランカの絵です。この年齢でここまで描くとは、講師陣も驚愕しました。親御さんはいったいどういった教育をなさってきたのでしょうか。観察して判断するちからに加えて、それを手に伝えるちからもある。素晴らしいですね。始めはお花のところだけでいいよと言っていたのですが、下の方も描きたいと言うので紙をつなげました。(始めから大きい紙にすればよかった、ごめんね)この子は筆使いも工作も上手で日々驚かされます。これからが楽しみですね。
今回はデッサンのちからについてご紹介しました。ものをよく観て集中して描くことの魅力と大切さが少しでも伝わっていただけたら幸いです。もちろんデッサンは美術への入口の1つでしかありません。他にも色彩から入る人もいれば工作から入る人もいます。それぞれの個性に合った指導を心がけております。